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『マインドフルネスに基づく嗜癖行動の再発予防―臨床家のための手引き』(日本評論社)
『マインドフルネスに基づく嗜癖行動の再発予防―臨床家のための手引き』(日本評論社)の読者の方がマインドフルネスの再発予防効果について要約して下さったので掲載させていただきます。
マインドフルネスに基づく再発予防(mindfulness-based relapse prevention以下MBRP)は従来の再発予防(relapse prevention以下RP)に瞑想訓練を取り入れたプログラムです。従来のRPは、嗜癖問題治療を受け入れているクライアントの再発予防や取り組みを援助するために組み立てられた認知行動療法です。同様に、MBRPは外来患者のために治療後プログラムとして考案されており、回復期にある患者個人のために治療の成果を維持管理できるよう支援し、持続可能な生活スタイルを涵養することが目的です。
現在、MBRPにて広く研究されているのは、非指示的な方法と指示的な方法の中間をとる「折衷的方法」です。アルコールといった依存症治療には電気嫌悪療法が効果的でした。嫌悪療法とは、渇望を嫌悪反応に変換させるために構成され、「飲みたい」「薬を摂取したい」という衝動を回避するために、痛みから逃れる欲求を引き起こすことを特徴とする体罰治療です。短期的にはこの治療法は有効かもしれないが、長期的みると、嫌悪療法を行った患者は再発の可能性が高いようです。 では、何が必要であるのか。それは嫌悪療法によるアプローチではなく、自己愛と渇望、衝動を含むすべての体験のセルフコンパッションと受容の原則に基づいた包括的なマインドフルネスのスキルということでした。
嗜癖は、多くの人(自分自身を「嗜癖者」と認めている人を含む)が、処罰されるべきモラル(道徳)の問題だと考えています。「麻薬の撲滅戦争」では、違法薬物使用者は道徳に反した違法行為により収監され処罰を受け、さらに嫌悪アプローチによる指導を受けます。嗜癖者はたいてい物質乱用を続けるのは自らの「悪しき習慣」のせいだと考えています。また、ほとんどの者が飲酒や薬物の乱用に対し『罪の意識』と『羞恥心』を体験しており、疎外されることや懲罰を恐れ、自発的に治療を求めようとはしません。こういった嗜癖者の多くは、家族や同僚からの直面化による「介入」で、強制的に治療を受けるか、物質使用が原因で罪を犯し収監されるか、どちらかの道をたどります。このような結末は嗜癖者の恥の意識を増幅させるだけです。
そこでマインドフルネスを取り入れます。マインドフルネスは「意識的に、今のこの瞬間に、いかなる判断もせずに、注意を払う方法」と定義しているためマインドフルネスを依存症患者に取り入れる際に「嗜癖者が次にどんな行動をするか」に注目するのではなく、「彼らが今本当はどうなのか」」に視点を置き支援します。
また、マインドフルネスは物事が変化する本質を気づかせてくれます。それは私たちの心や身体や環境が絶え間なく変化しているということです。たとえば、ヘビースモーカーで45分間タバコなしではいられない人がいたとします。この場合、圧倒的な喫煙欲求を抑えられるなどとは考えられません。しかし、マインドフルネスでは、その衝動や渇望から目をそらしたり、その思いに圧倒的されたりせずにそれを観察し、取り組むための「すぐれた道具」となります。
前述の喫煙者が吸いたくなる衝動にかられても、吸わない時間を与えることで、衝動と渇望は彼ら自身のなかで変化します。さらに、マインドフルネスを通じて、人が馴染みのある条件行動、習慣行動をとる代わりに、メタ認知の気づきによって「全体像」をみることができるようになります。この気づきは我々の選択する自由があることをわからせてくれるのです。
以上のように、依存症の患者の渇望反応を処罰する嫌悪療法とはまったく対照的に、マインドフルネスは渇望と衝動に向き合い、それらを受け入れる練習をします。充分な練習を積むことで、即座に満足感を得たいという欲求の波に「のみ込まれる」ことなく、その最高潮を観察できるようになるわけです。このようなことが依存症の再発予防のために効果的なのだと思われます。
(A.Kさんより)
マインドフルネスに基づく再発予防(mindfulness-based relapse prevention以下MBRP)は従来の再発予防(relapse prevention以下RP)に瞑想訓練を取り入れたプログラムです。従来のRPは、嗜癖問題治療を受け入れているクライアントの再発予防や取り組みを援助するために組み立てられた認知行動療法です。同様に、MBRPは外来患者のために治療後プログラムとして考案されており、回復期にある患者個人のために治療の成果を維持管理できるよう支援し、持続可能な生活スタイルを涵養することが目的です。
現在、MBRPにて広く研究されているのは、非指示的な方法と指示的な方法の中間をとる「折衷的方法」です。アルコールといった依存症治療には電気嫌悪療法が効果的でした。嫌悪療法とは、渇望を嫌悪反応に変換させるために構成され、「飲みたい」「薬を摂取したい」という衝動を回避するために、痛みから逃れる欲求を引き起こすことを特徴とする体罰治療です。短期的にはこの治療法は有効かもしれないが、長期的みると、嫌悪療法を行った患者は再発の可能性が高いようです。 では、何が必要であるのか。それは嫌悪療法によるアプローチではなく、自己愛と渇望、衝動を含むすべての体験のセルフコンパッションと受容の原則に基づいた包括的なマインドフルネスのスキルということでした。
嗜癖は、多くの人(自分自身を「嗜癖者」と認めている人を含む)が、処罰されるべきモラル(道徳)の問題だと考えています。「麻薬の撲滅戦争」では、違法薬物使用者は道徳に反した違法行為により収監され処罰を受け、さらに嫌悪アプローチによる指導を受けます。嗜癖者はたいてい物質乱用を続けるのは自らの「悪しき習慣」のせいだと考えています。また、ほとんどの者が飲酒や薬物の乱用に対し『罪の意識』と『羞恥心』を体験しており、疎外されることや懲罰を恐れ、自発的に治療を求めようとはしません。こういった嗜癖者の多くは、家族や同僚からの直面化による「介入」で、強制的に治療を受けるか、物質使用が原因で罪を犯し収監されるか、どちらかの道をたどります。このような結末は嗜癖者の恥の意識を増幅させるだけです。
そこでマインドフルネスを取り入れます。マインドフルネスは「意識的に、今のこの瞬間に、いかなる判断もせずに、注意を払う方法」と定義しているためマインドフルネスを依存症患者に取り入れる際に「嗜癖者が次にどんな行動をするか」に注目するのではなく、「彼らが今本当はどうなのか」」に視点を置き支援します。
また、マインドフルネスは物事が変化する本質を気づかせてくれます。それは私たちの心や身体や環境が絶え間なく変化しているということです。たとえば、ヘビースモーカーで45分間タバコなしではいられない人がいたとします。この場合、圧倒的な喫煙欲求を抑えられるなどとは考えられません。しかし、マインドフルネスでは、その衝動や渇望から目をそらしたり、その思いに圧倒的されたりせずにそれを観察し、取り組むための「すぐれた道具」となります。
前述の喫煙者が吸いたくなる衝動にかられても、吸わない時間を与えることで、衝動と渇望は彼ら自身のなかで変化します。さらに、マインドフルネスを通じて、人が馴染みのある条件行動、習慣行動をとる代わりに、メタ認知の気づきによって「全体像」をみることができるようになります。この気づきは我々の選択する自由があることをわからせてくれるのです。
以上のように、依存症の患者の渇望反応を処罰する嫌悪療法とはまったく対照的に、マインドフルネスは渇望と衝動に向き合い、それらを受け入れる練習をします。充分な練習を積むことで、即座に満足感を得たいという欲求の波に「のみ込まれる」ことなく、その最高潮を観察できるようになるわけです。このようなことが依存症の再発予防のために効果的なのだと思われます。
(A.Kさんより)